絵を描くように

コンクールの季節、それぞれが課題曲に向き合って練習をしていらっしゃいます。
ひとつの曲を作り上げていくのは、真白なキャンバスに絵を描くこと、そしてその工程に似ています。同じ風景を対象にスケッチするにも、描く人によって、視点の角度も、物の丸みも、鋭さも、色合いや温度感も違いますから、仕上がる絵も2つとして同じものはありません。
仕上がる頃には、色合いも最初に考えていたものと変わって、重ねて塗った独特の深みや陰影がうまれたり、画角に入ってきた新たなものを描き込んだりと、音楽も、絵を描く発想に近い楽しさをもって最後の仕上げに取り組んでほしいです。